題名 : 走れ!イデアツーリストのヤスノV ようこそ!虹ヶ丘支店へ…



???「ど、どうしよう…このままじゃ…大変な事になっちゃう…」

エステリア大陸にある一国家、ドルロレは男爵…アルベルト家の とある一室…




アルベルト家の次女kyomiは俯き、白い頬に頬杖を付きながら…表情に陰りを見せる。




窓の外に見えるのは何処までも広がりを見せる蒼空…

窓を開けると風が入り、金色の髪が揺れる…







彼女には大きな問題が迫っていた…







白い雲へと飛び立つ小鳥を見つめ続けていたが…


???「 ッ!! そういえば… 」






ふいに脳裏に過ぎる…







彼女は日曜礼拝の時に神父ねぇるから渡された「チラシ」に目を向けた。


「 ☆! 観光? 近所の宿屋からティモーレの墓場まで☆ d(φωφ)

     雑用? 過酷な大工仕事から毎日のお買い物のお手伝いまで☆ (φωφ)b 
     
     イデアツーリスト、虹ヶ丘支店に………お、いで〜〜あぁぁ〜〜〜〜〜ッ (ノシφωφ)ノシ !☆」


kyomi「買い物の手伝いまでしてくれるなら…ここならきっと…」


そういうとkyomiは身支度も早々に部屋を飛び出していった…







第1話 ヤスノV、再び登場… (kyomi編)







エステリア大陸にある国…ドルロレ…


そのドルロレの首都中心部、水都ナーレにはたくさんの建物が建ち並ぶ。

人口は98,250人…


レンガと漆喰を使用した堅固な建築法を用いる住宅が数多く、暮らしを満たす住設水路に魔導路が巡る。

まさに充実している整えられた環境。



「病院」「教会」「銀行」等の生活に必要な公共機関に加え…

ナーレから離れた場所に隠れ潜む魔物に対して身を守る商品を購入できる「武器屋」「防具屋」「水薬屋」に「雑貨屋」…

そして装備品を向上させる「細工屋」「鍛冶屋」…

更には「闘技場」や「食堂」などいう施設も存在する。


これらはドルロレの国民にとって、無くてはならない施設ばかりだ。


そんな重要な施設が集合して建ち並ぶ場所から海に向かって1km程歩いた崖の上…

そんなヘンピなところにイデアツーリスト、虹ヶ丘支店は存在する。




木造の小さな建物…


僅か10坪程度で建てられた「小屋と呼ぶに相応しい建物」は

築5年という浅い建築年数にもかかわらず海風を満面に受けるため傷みが激しい。




やすのぶ「 …………… 」



時折、天井裏からミシッと音が鳴る度に店番をしている本編の主人公やすのぶ は上を見上げていた。


やすのぶ「一生懸命、修理はしたけど…つ、つぶれないよな?」


観光会社、イデアツーリスト虹ヶ丘支店はドルロレに隣接している『イデア』という国から移転してきたばかりで


客足は乏しく、社員は全員が都心部へと広報活動で出掛けている。


やすのぶはどうやら廃屋間近な店舗の中、店番を任されているようだ。その様子は少しフテ腐れている…


やすのぶ「オレだって…百絵さんやパンサーくんが頑張ってチラシを配っているのを手伝いたいのに…

     クレスさんは遊びに行って何処に行ったか分かったもんじゃないなんて…
     
     本当にこんな調子でオレの借金、返しきれるのか?」




誰も来ない虹ヶ丘支店を退屈な時間が支配する…

考えた所で何も出来ない状況で…

ただ、グダグダと愚痴るだけ…



そして…

やすのぶ「 ッ!? 」

また天井裏からミシッと音が鳴る…



やすのぶ「なんか…この建物と一緒にオレもツブレちゃいそうだよ…」


環境により、精神が負の連鎖に巻き込まれ、物事を悪い方へ…悪い方へと思考させる…


やすのぶ は朝からそんなこんなを、数十回と繰り返していた。


ある意味、精神的なアレの末期症状だった…








しかし…


やすのぶ「あ、あれれ!?こ、この足音は…?」



そんな やすのぶ の耳に届く軽い足取り…














それは先程から心待ちにしていた…












やすのぶ「来いっ!!来いっ!!!」















stall「やぁ、やすのぶくん!!元気ですか〜〜?」


やすのぶ「 …………… 」


stall「あ、あれ?ど、どうしました…?」




お客ではなかった…




やすのぶ「なんだ…stallくんか…」

stall「むっ?ご挨拶ですね、やすのぶくん…何をそんなに ふて腐れているんです?」




紹介しよう…


やすのぶ にお客様と勘違いされて溜め息を吐かれた、長髪を後ろで括った青年…stallは、やすのぶの少年時代からの幼馴染みである。

ドルロレの名門貴族「イルザーク侯爵家」の次男で、英才教育の一環で子供の頃にイデアへの留学経験がある。

留学中、たまたま知り合った平民やすのぶとの間に何故か深い友情が産まれ、未だに付き合いがあるのだ。

現在はドルロレ国、第2皇女エスリーンの教育係としての職を全うしているが、

秘密裏に「白銀の翼」という公務機関にも所属している。

ちなみに…親友なのに やすのぶは、その事実を微塵たりとも知らない。



そんなstallの明るい笑顔とは対照的に暗い表情のやすのぶ。


やすのぶ「もう…ボクはダメかも知れないよ…」


stall「ドルロレに来て4日目でですかっ!?ちょ、諦めるの早すぎでしょうっ!?」



両腕をカウンターに乗せ、うな垂れながら弱音を吐く やすのぶ…



プロローグで紹介したように…最早、やすのぶ自身も自分が何故、借金まみれになったのか…?

ドルロレはナーレで何故、仕事をしているのか?


それすらも分からなくなっている。


stall「借金の事はしょうがないとして、豊穣の国イデアの素晴らしさをドルロレのみんなに

   もっと知って貰うため、キミは虹ヶ丘支店の社員に抜擢されたのでしょう?もっと自信を持って下さいよ!!」


やすのぶ「うぅぅ…それはそうだけど……今の状況って『お金を返すために働いている感』がもの凄く強くって…

     俺自身が不幸のどん底なのに…幸せや夢を振りまくなんて難しいよ…」




たしかに「どん底」であることは否めない状況…

今までもお金がないとはいえ やすのぶは精一杯の給料の中で

観光旅行の外敵となる魔物を退けるため、武器や防具の購入、強化に勤めてきたのだ…




それすらも困難となった今、彼の現状は八方塞がりと言っても過言ではない。

しかし、そんな弱音を吐くやすのぶにstallは哀しげに叱咤する。



stall「なんてことを…自称とはいえ…正義の味方を志すキミの言葉とは…とてもじゃないけど思えないよ…」

やすのぶ「 そ、それってどういう事だよ? 」



stall「だってそうでしょう?キミにはまだ、蒼いマントが残ってるじゃないですかっ!!

   昔、僕らの憧れだったアノ英雄の蒼いマントがです!!」


やすのぶ「 っ!! 」


やすのぶは目を大きく開け、拳を握り締めた。


stallの言う蒼いマントとは…

やすのぶが変身アイテム「ヤスノ・ブレスレット」を使用し、ヤスノVに変身した時…背に付ける蒼いマント。

それはかつて…今、やすのぶが大地を踏みしめているドルロレにおいて、最も民衆の憧れを受けた英雄の所有物だった物なのだ…


13年前…26歳という若さで戦死したその英雄は死の瞬間…

持ちうる限りのマナ(魔力)を用いて、それをやすのぶに届けたとされている…

やすのぶにとって、命よりも大切な蒼いマント…


やすのぶ「………ありがとう、stallくん。キミがボクの親友で本当に良かったよ…」


stallの叱咤は やすのぶの心を奮わせるには十分だった。


やすのぶ「そうだった、ボクにはまだ…コレがあったんだ…」



やすのぶは腕に付けている「ブレスレット」を光らせると・・・その姿を戦士へと変えた・・・



ヤスノVE「持っている剣が市販の銅の剣でも…

      着ている鎧から新品の皮の匂いがしても…
       
      ボクにはまだ…この蒼いマントが残っていたんだ…」


stall「 そうですよ… キミならば「1」からではなく「−」(マイナス)からでも這い上がれる…

    ボクはそう、信じているんですか……ら……って…?」


背を向けて蒼いマント、ヤスノ・ブルーを装備するヤスノVの肩を笑顔で叩こうとしたstallだったが…

瞬時、その表情が凍り付く…


ヤスノVE「ん?どうしたんだよ?stallくん?妙な顔つきをして…?」


その視線はヤスノVの蒼いマントの中央に集中…


stall「や、やすのぶ……くん?そ、それは?」


ヤスノVE「ん?どうしたんだい?」


と、蒼いマントを たくし上げた瞬間…




ヤスノVE「ッ!!!!」





stall「ッ!!!!」











ヤスノVE「ギャアアアアアァアァアァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」













1kmは離れている水都ナーレまで、ヤスノVの悲鳴が響き渡った!!!


その原因はなんと!!!


ヤスノVE「穴がッ!!オレのヤスノ・ブルーにッ!!!でっかい穴が空いてる〜〜〜〜っ!!!」



stall「そ、それって虫食いの穴じゃないですか?変身用アイテムの魔力でマントを封入してたんじゃないんですか!?」


ヤスノVE?「そ、そうだけどッ!!そんな…ちゃんと『ピレパ○アース』も一緒に入れてたのにッ!!

       なんで!?なんでこんなソフトボール大の穴がっ!?」


stall「んっ?この端に付いているのって…?アイスクリームが固まってシミになってるんじゃ…?」



ヤスノVE「はっ!?そ、そういえば…支店初日の打ち上げの時…クレスさんに余興で変身しろって言われて…

      思いっきり意味無く…アイスクリームをマントに付けられたような…?」








stall「じゃ、この『原因』って…」














ずばり!! 原因はイデアツーリスト、虹ヶ丘支店 支社長 兼 部長取締役  クレスが

遊び半分でヤスノVのマントにつけたアイスクリームである…


そう!ヤスノVの命よりも大事な装備品はアイスクリームのせいで、虫の餌食になっていたのだ!







ヤスノVE「ちくしょう!破邪の力があるこの蒼いマントも…虫を退けることはできなかったのかぁぁ〜〜〜ッ!!?」



stall「これは…これは青い布を下に充てがっても…消えそうには…」





ヤスノVE「うわぁあぁぁ〜〜〜〜〜〜ッ!!あの女ァァ〜〜〜ッ!!!オレの、オレの命より大事な一張羅を〜〜〜〜〜ッ!!!」








stall「 (;ÅД゚)ホロリ・・・ 」















ヤスノVE「こうなったら…こうなったら〜〜〜〜ッ!!!」


















やすのぶの慟哭は憤怒の中…復讐の炎へと変わっていった…









…………………………………………………………………………












…………………………………………












???「ふわぁ〜〜…ここがイデアツーリストの虹ヶ丘支店だよ…」



波打ち際の古い建物、虹ヶ丘支店の前…サンタ帽子を被った女性と少女が会話を重ねている。




?????「案内していただいて、ありがとうございます…チラシに住所が書いていなかったもので途方にくれました。」



???「だよね〜…チラシ配っても住所を書いてなきゃ誰も来ないって当然だわ…」


女性は眠たげに、少女を誘導しながら…古い建物のドアをゆっくりと開けた…




するとその先…女性と少女が見たもの…







それは…








やすのぶ「虹ヶ丘支店、支社長クレスはマトモに仕事を…シロ〜〜〜〜ッ!!!」



stall「仕事を…シロ〜〜〜〜ッ!!!」




?????「 ッ!? 」




???「 ……………… 」








やすのぶ「虹ヶ丘支店、支社長クレスは社員をもっと大切にシロ〜〜〜〜ッ!!!」



stall「大切に…シロ〜〜〜〜ッ!!!」






誰も座っていない支社長の席に向かって…



黄色いヘルメットを被りながらメガホンで怒鳴りあげる滑稽なオトコ二人の姿…




stall「ハァハァ…ク、クレスさんが座っていないとはいえ…これって意外に面白いですね…やすのぶくん…」



やすのぶ「えへへ、そうだろう?ボクが思いついたストライキごっこ『ヤスノ・ブーイング』さッ!!

     誰も居ない時に文句を全力でブチまければストレスを溜めずに済むのさッ!!」






?????「 ……………… 」




???「 ……………… 」




背後のドアが開いているとも知らずに、大の男…2人の遊戯『ヤスノ・ブーイング』は炸裂する…





やすのぶ「虹ヶ丘支店、支社長クレスは社員に苦労を掛けるな〜〜〜〜ッ!!!」



stall「苦労を…掛けるな〜〜〜〜ッ!!!」






???「 ……………… 」







やすのぶ「虹ヶ丘支店、支社長クレスは やすのぶの給料を上げろ〜〜〜〜ッ!!!」



stall「給料を…上げッ!!!〜〜〜〜ッ!!! ッ!!!ッッ!!!」




後ろから頭を鷲掴みにされながら、「石になる!!」とも思える睨みを直視したstall…






その睨みを効かせたサンタ帽子を被る女性…



紹介しよう…

このサンタ帽子を被る彼女こそが、イデアの観光会社…イデアツーリストの虹ヶ丘支店で最大の権力を持つ支社長にして…

本社、部長取締役のクレスティーナ・エンドロフィン…通称、クレスである。

性格的には根っからの遊び人で、仕事に関しては興味のキョの字も持っていない困った人物だ。

占いと呪い(まじないって読んでね☆)が何より大好きで…

支社長にもかかわらず、何をしでかすか全く予測不能のトラブルメーカーであるが…

仕事に関する知識及び、観光における旅人の防護に関しては右に出るものはいない超実力派である。




そんな支社長が背後にいるとも知らず…



やすのぶ「虹ヶ丘支店、支社長クレスは…お菓子を経費で買うな〜〜〜〜ッ!!!」





クレス「 ……………… 」






やすのぶの遊戯は続く…







やすのぶ「虹ヶ丘支店、支社長クレスは…せめて定時に出社シロ〜〜〜〜ッ!!!」








クレス「 ……………… 」








やすのぶ「 ??? 」






クレス「 ……………… 」





相づちが全く聞こえない…






1人で叫んでいることに気付いた やすのぶは振り向き様に文句を付けた…













やすのぶ「どうしたんだよ、stallくん?ちゃんと「合づち」を打ってくれないと雰囲気が出ないじゃないか?」





クレス「あはは、私が打てるのは やすのぶくんの「言葉に合づち」じゃなくて…

    やすのぶくんの「頭に金づち」だけど…?」







やすのぶ「 ……………… 」






クレス「 ……………… 」





stall「 ……………… 」




『シムラ…後ろ…後ろ…』と言わんばかりに涙目のstallの表情…










やすのぶ「 ……………… 」






クレス「 ……………… 」










とても文章にできない惨劇がこの後…数十秒発生した…

















…………………………………………………………………………












…………………………………………






クレス「じゃ、私が店番を変わるから…連れて来たお客さん第1号の依頼を聞いて下さい…」



と言いながら、カウンターで両腕を枕代わりに眠り始めたクレス…




?????「 …………… 」


やすのぶ「あはははは、いや〜〜〜お恥ずかしいところをお見せして申し訳ありません。」





動揺するお客と思しき少女を相手に、やすのぶは腫れ上がった顔面をオシボリで冷やしながら笑顔を見せる。


stall「だ、大丈夫ですよ?この人はこう見えて仕事はちゃんとする人なので安心してください。」


と、虹ヶ丘支店とは全く関係ないにもかかわらず、stallも腫れ上がった顔面をオシボリで冷やしながら笑顔を見せる。



年の頃も若い少女にはあまりにショッキングな光景だったのか?

動揺しながらも、恐る恐る口を開き始めた。



kyomi「あ…私はkyomiと申しますが、案内をしていただきたいところがありまして…」


やすのぶ「案内?あぁ、なるほど!観光案内でいいのかな?どこに行きたいんだろう?」


やすのぶはkyomiに冷えたリンゴジュースを、そっと差し出しながら笑顔で受付書類に手を伸ばす…


そして傍らに置かれた美しい剣に目を向けた…

やすのぶ「…(ふむ、この女の子は『剣士』なのかな?でも…この子の装備品って…)」

確かに剣を持っている事から「剣士」である事は確実であるが…

kyomiの様相は淡いピンクのブラウスに動きやすそうな綿地の長ズボンを履いている。

しかしながら身につけているアクセサリーは、おおよそ『一般の剣士』とは思えない程 上質にして高価の物ばかり…


やすのぶ「( …「ピンクトルマリンの指輪」に「エメラルドの首輪」…

         おまけに「オニキスの腕輪」ですか… これは…つまり…………)」








これらの結果から、導き出した やすのぶの答え…





それは…





やすのぶ「 これは…つまり…………『上客』でございますねッ…!!!」



kyomi「はっ!?あ、あの…いきなりどうされたんですか!?」


stall「あ、あぁ!!大丈夫です!!この人きっと頭で思っていた事が口に出ただけですから…

   ちょ、ちょっとやすのぶくん?お客様に失礼でしょうっ!?」



やすのぶは僅かに垂れたヨダレを拭うと、出来うる限りの「お上品な表情」で襟を正し…パンフレットをkyomiに薦めた。



やすのぶ「す、すいません。で、どちらへご案内致しましょうか?お嬢様ッ!!

     お嬢様であれば「豪華客船で行くッ!!イデア、オーシャンリゾート・コンプリートプラン」などがお薦めで御座いますがッ!?
     
     それはもう、お嬢様で御座いましたら浜辺の視線を独り占めで御座いますぅぅ〜〜〜ッ!!
     
     今なら新規開店キャンペーン中でッ…7泊9日、2,450,000ドニアでご案内をできますよ??」


kyomi「い、いえ、イデアに行きたい訳では…」


やすのぶ「す、すいません。それではティモーレへのご案内でしたでしょうか?お嬢様ッ!!

     今でしたら「自然を満喫!ティモーレ、ナチュラルリゾート・コンプリートプラン」などがお奨めで御座いますッ!!
     
     今なら新規開店キャンペーン中でッ…10泊13日、1,984,000ドニアでご案内をできますよ??
     
     ティモーレへの特急交通をご希望でしたら通常『ユニコーンの馬車』を使うところを!!
     
     『弊社の空を飛ぶ会長』がゴンドラを引きますので遊覧飛行を楽しみながらの旅行ができますが…
     
     あっ!この場合オプションですのでプラス750,000ドニア費用発生いたしますッ!!」



kyomi「い、いえ、ティモーレに行きたい訳でもなくて…(そ、『空を飛ぶ会長』って何者なの…?)」


やすのぶ「そうで御座いますか…そうで御座いましたか…お嬢様ッ!!

     この、やすのぶ…お嬢様のお気持ちを全く察しておりませんで申し訳ありません…

     で、ではどちらへご案内致しましょうか?

     ドルロレ国内にも、たくさんたくさんドニアが掛か…もといッ!!
     
     良い所は御座いますからねェェ〜〜〜〜〜ッ!!!」





モジモジとして顔を赤らめるkyomiにハァハァと悦入った表情のやすのぶ…



kyomi「私の行きたいところは…」




やすのぶ「はい!はい!?」



stall「 …? 」



kyomiの案内して欲しい所…


それは…






kyomi「アッピーが居るところですの…」




やすのぶ「 ッ!? 」



stall「 アッピー? 」




アッピー…それは、『人間に頭を囓られ、不味いの一言で捨てられた』リンゴのお化けである。


強さは一般の子供と同等位であるが基本的に『悪戯』程度の悪さしかしない。


寂しがり屋な所があると考えられる・・・憎めない『あんちきしょう』である。




簡単に言うとメチャクチャ弱い魔物の一種である。


近年ではこのアッピーも人に懐くモノも現れ、『初心者修練場』で一般の戦士や魔法使いの修行に協力してくれるものもいる。





stall「ははは…アッピーがいるところとは…また、可愛らしい依頼じゃないですか?ねぇ、やすのぶくん…」





やすのぶ「…いや…全くもって…でも、それだったらウチにわざわざ来る必要は無いよね?

     『初心者修練場』は国家管理されているわけだし…
     
     kyomiちゃんだっけか?そういう訳だし、港へ行って『初心者修練場行きの船』に乗ってください。
     
     それで君の望むアッピーが居る場所にサクッと着きます。」





と、先程までは卑屈なまでにヘリクダッていた やすのぶの態度が一変する。

上客と思っていた やすのぶのビジョンは、親近感からか?お金にならないと思ってか?


「その辺の女の子」と同じ扱いになっていた。





しかし、次のkyomiの言葉で認識を再度変えなくてはいけなくなる。






kyomi「いえ、その…修練場のアッピーではなくて…野生のアッピーが居る場所なのです…」



やすのぶ「 ッ! 」



stall「野生のアッピーですって?それは少しばかり危険ですよ?

   彼らは子供程度の力とはいえ野生の場合は「群れ」で襲ってくるんですから…」



kyomi「わ、分かっています…それでも、わたくしはどうしても野生のアッピーの居る場所へ行きたいのです!!」



やすのぶ「 ッッッ! 」






自然に生息する魔物に近づく…




それには「熟練した手垂れを持つ強者」や「襲われない為の経験を持つ者」の存在が必要…




どんな危険な場所への観光も可能とするには『上記、2つを併せ持つ者の存在』が必要となる。







魔物がいる場所への観光…


そう…これこそが『イデアツーリストのナビゲータ』にとって…真骨頂であるのだ。







『この真骨頂がどう作用するのか…?』








stall「う〜ん…少し考え直した方がいいと思いますよ?貴女の実力は計りかねますが、初心者修練場で十分と…」








やすのぶ「何、言ってるんだよ?stallくん…」








困り顔でkyomiを諭そうとするstallだったが、観光会社社員…やすのぶの目はランランと輝いている…










『この真骨頂がどう作用するのか…?』と、言うと…





『普通の観光よりもナビゲータ自身に多くお金が入る(50%が取分)』ということである…





やすのぶ「お客様のご要望を承り…確実にサポートするのが『イデアツーリスト』の使命なのだよ?

     解るかな?こう言った「美味しい依頼」…じゃない…
     
     こう言ったお嬢様のような「探究を満たそうとする勤勉な精神」は特に応援したいんだよ…」



stall「でも、大丈夫ですか?野生のアッピーといえども相手は魔物…

   確実に命を狙ってきますよ?」



kyomi「大丈夫です。わたくしを案内さえしてくれたら、後のことはわたくしの方で何とか致しますから…」



やすのぶ「素晴らしい!!さすがは、お嬢様は素晴らしい!!

     このイデアツーリストの やすのぶが…お嬢様のナビゲートを…
     
     たったの『50,000ドニア』で引き受けさせて頂きますよ!!」



stall「 ん? 50,000ドニア?」




50,000ドニア…


遅ればせた説明であるが、アッピーが存在する『エステリア大陸』は「ドニア」という通貨でお金が流通している。


1ドニアで日本通貨の1円をイメージして欲しい。





野生のアッピーが居る場所は水都ナーレから精々離れて6km…




イデアツーリストの観光案内において、『往復の無傷送迎』を約束しても…精々「40,000ドニア」がいいところ…




これを踏まえて説明せねばなるまい…





そう!!イデアツーリストの やすのぶは今!!何も解らないお金持ちのお嬢様から『若干、ボッたくろう』としているのだ!!!


大きくボッたくらない辺りが やすのぶの小者具合を露わにしている!!




kyomi「50,000ドニアですって?本当にそんな『少額』でご案内頂けるのですか?」



驚きの表情を露わにするお嬢様kyomi…『少額』と言うあたり、金銭感覚に疎いことが明白…




笑顔で会話している二人に対してイデアツーリストの金額設定を知るstallは、

やすのぶが計算を間違えていると思い…優しく声を掛けた。





stall「あの、やすのぶくん?私も過去、百絵さんにお世話になったことがありますが…計算が少…し…ッ!!」




しかし、その親切に対し…




やすのぶ「 ヤスノ・ブロウッ!! 」


ふわりと身を翻しつつ…やすのぶがstallの懐へと拳を突き出す…



説明しよう!

ヤスノ・ブロウとは、素手時のヤスノVの必殺技…

ちなみに特殊効果は特に無い…ただの みぞおちを目掛けたボディーブローである。



自称、正義の味方はstallの耳元で囁いた…


やすのぶ「stallくん…ちょっとゆっくり寝てた方がいいょッ!!!!」



stall「な、なんで…?」








グラリと身を崩して床に倒れこむ親友stall…



kyomi「あ、あの?その方はどうして気を失われたのですか?」


stall「いや〜〜…彼は昨日の夜、徹夜でネトゲをしていたようで…完全にダウンですよ〜〜

   寝かしておいてやってください…」



やすのぶは足でカウンターの影へとstallを追いやりながら笑顔で対話する…




やすのぶ「さて、それじゃ…わたくしめが、お嬢様のナビゲートを勤めさせていただきます。」


kyomi「ありがとう…やすのぶさん。紳士ですのネ?」


やすのぶ「はっはっは…お嬢様のためでしたら、このやすのぶ…『騎士』にでも変身致しますよ?」


kyomi「ふふふ…面白い人…そうだわ!お金を支払いたいけど、今は持ち合わせが無くて…支払いは後でもよろしいかしら?」


やすのぶ「えぇ!それはもう!! この やすのぶ…お嬢様を信用しておりますゆえッ!!」



頭の中で思い浮かぶ限りの「高貴な紳士」を演じる ド貧民やすのぶ…


右手に持っていた観光申請の用紙をポイっとゴミ箱へと捨ててクレスの寝顔に笑みを浮かべる…


やすのぶ「 (この依頼は『帰ってから書く』ことにしておいて…あとで40,000ドニアで依頼受諾した書類を作らないと…) 」



ふと、視線をkyomiへと戻すと彼女は左手首に着けていたブレスレットにマナ(魔力)を送っている。


数度、ブレスレットに付いている「蒼のオーブ」から光が発せられるとkyomiの左の耳に光が伸びていった。


やすのぶ「おぉう!?魔導無線式の通話宝玉の最新バージョン!!2者通話で会話が他人に聞こえないヤツだね!?」


kyomi「よくご存知ですのね?あっ、暫く静かにお願いできます?」


やすのぶ「 (*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)」




無言でニコヤカに頷いて待っている…



通話先の相手が通信に出たようだ…






kyomi「 えぇ、そうよ…爺や。kyomiですわ… 突然で悪いのですけど、お金を用意して欲しいのです…」









kyomi「 それは…言えませんわ… 」










kyomi「 私は大丈夫です… あとでお金が必要と言われていますので、とにかく用意をして欲しいのです… 」










kyomi「 何を言うの?彼はとっても紳士的で当然の報酬と思いますわ…? 」








kyomi「 居場所をわたくしが報告しなければいけない義務はありません!! また連絡しますわ!! 」








やすのぶ「あぁ?お話は終わりましたか?」



kyomi「えぇ…でも、なぜかしら?少し、爺やが興奮気味で…

    あぁっ!ちゃんとお金はお支払いしますので安心してくださいね?」




やすのぶ「そっか…まぁ、大丈夫でございましょ?それじゃ、今から野生のアッピーが居るところへ ご案内致しますからね?」



kyomi「うふふふ…」





やすのぶ のシドロモドロな動作に笑顔を見せたkyomi…


やすのぶ「ど、どうかなさいましたか?お嬢様??」


kyomi「いえ、無理をなさらなくていいんですよ?

    …というより…途中、見せてくれた「はなしかた」の方が私も崩しやすいんだけど…?」


どうやら彼女には最初から「無理をしていた」と気付かれていたようだ…


また、彼女も少し砕けた話し方で接してくれている。


そんな彼女の優しさに やすのぶは照れながら頬を指で掻く。


やすのぶ「あはは…そうか…そうだよね?無理は良くないよね…じゃ、そろそろ案内しようか?」


と、やすのぶは居眠りする支社長クレスと気絶するstallを放置して会社のドアに手を掛ける…



kyomi「えぇ!では、早々にアッピーの…野生のアッピーがいる場所へ案内してください…お願い致します…」



やすのぶ「 うん……… ? 」



kyomiは美しい装飾が施された剣を背に装着すると決意にも似た表情を見せたが…





その鬼気迫る何かに…やすのぶ は気付くよしも無かった…











…………………………………………………………………………












…………………………………………




金属の擦れる音を残して、虹ヶ丘支店のドアが閉まる…





2人が去った虹ヶ丘支店に…心地よい波音だけが繰り返し入ってくる…



その合間を縫って…小さな店舗の中に聞こえるのは、クレスとstallの寝息だけ…




クレス「 …………… 」




カタリと、カウンターから音が鳴る…









クレス「 はてさて… 」
























『 支店の社員のことは…頼むぞ? お前のやり方で ……… …… … 』






















クレス「 私のやり方は… ちと、キツイですぞよ? おけな本社長? 」



見つめる右手の指先…



そこで転がされるのは…先程まで「ヤスノ・ブレスレット」に填められていた…黄色の小さな宝石…






クレス「 さぁ、やすのぶくん… ヤスノ・ブランド無しの自分がどれ程の物か… シッカリ理解しなさい… 」





言って…彼女はゆっくりと立ち上がると、


社長席に置かれている60枚はあろう書類の山に手を伸ばし、それをカウンターへと持って移動する…



この書類の山は、クレスの…支社長の判を全て押さなくてはいけない重要書類ばかり…







クレス「さて、じゃ私も本腰を入れて…」




真剣な面持ちで丁寧に書類を束ねた後…










クレス「 ……………うん、寝心地…最高ぉ〜〜 ☆」








彼女は重要書類を枕にして…本腰を入れて眠りに付いた…













…………………………………………………………………………












…………………………………………






ところ変わって国家、ドルロレは首都…ナーレの中心部…







中央に位置する噴水の広場…

チラシを配っている2人組が居る…






??「お願いしま〜〜〜す…お願いしま〜〜〜す………」





????「どうぞ〜〜〜!崖っぷちの…違うッ!!崖の上の…イデアツーリスト…虹ヶ丘支店をお願いしま〜〜〜す…」






朝から3時間以上に渡って道行く人にチラシを渡そうとするが、一向に受け取ってもらえる気配が無い…



白いリボンを付けて、珍しくスカートを靡かせながら…ワンピースを着るポニーテールの女性と…


褐色の肌のヤンキーにも思える青年が全身から汗を垂らしながらチラシを配り続けていた…



????「も、百絵さん…少し休憩しませんか?」


百絵「パンサーくん…ま、まだ、100部も配れてないのよ?もう少し頑張りましょうよ?」



パンサー「うぅう…だ、脱水症状が酷くて…吐き気が……」





紹介しよう…



暑さにもめげずチラシを配ろうとする、白いリボンを付けたポニーテールの女性…『百絵』はイデアツーリスト、虹ヶ丘支店の課長である。


事務処理をメインの業務としているが、そのポテンシャルは非常に高く…

観光面、戦闘面等のあらゆる場面において実力を発揮する知性派の探検家である。

最も得意とする武器は弓で、観光旅行客のナビゲートにおいて無傷での帰還は99%を誇っている…

また彼女には「人には言えない強さの秘密」を持っていて…ぶっちゃけ、メチャクチャ強い…




パンサー「ヒィ…ヒィ………火の魔法は得意でも…暑さは別なんですけど…??も、百絵さん…?」




もう一人、紹介しよう…



少し、ヘタレ気味にチラシを配っている褐色肌の青年…『パンサー』はイデアツーリスト、虹ヶ丘支店の平社員である。

熱意と情熱に関しては誰にも負けないアツサを持つ男ではあるが、

あまりに指向性が強すぎるため、一つの事にしか目を向けられない不器用な性格の持ち主である。

観光客を守るため、あらゆる魔物の前に対峙しても…火や炎の魔法以外は全く使えない少し寂しい魔法使いである。




百絵「チ、チラシ配りって…こんなに大変だったのね…少し、甘く見てたわ…」



パンサー「そ、そうですね…正直言って…虹ヶ丘支店としては…

     最大のピンチって言っても…過言じゃないですよ?」




太陽の日差しはチラシを配る2人に容赦なく照りつける…



道行く人は興味どころか、目線も合わせようとせず…通り過ぎていく…


そんな道行く人に、とうとうパンサーの怒りが頂点へと到達した!!


パンサー「なんだよッ!?一生懸命配ってるんだからッ!!持っていってくれても良いじゃないかッ!?

     こんなにッ…こんなに頑張ってるのにッ!!!」



百絵「パンサー君!!キレちゃダメよ!?コッチの事情は道行く人には全く関係ないじゃない!?」




パンサー「で、でも…ちょっと人情が無さ過ぎですよ!?折角ドルロレに支店ができても…これじゃ、寂しすぎますよ!!」



熱中症に目眩を起こしながらもチラシを握り締め、ただ俯くパンサーに…


上司である百絵は優しく微笑みながら、残っているチラシを1束…胸に当てて言った…


百絵「パンサー君、私たちは…ただチラシを配っている訳じゃないのよ?

   私たちは…『思い』を配っているのよ?」



パンサー「お、『思い』?」




百絵「そうよ?チラシというのは私たちの『思い』を届けてくれる唯一の手段…

   それに込める思いは必ず…手に取ってくれた人に通じていくの…
   
   そう信じて配っていけば、必ず…必ず思いは届くわ…」




パンサー「も、百絵さん…」




健気に一歩を踏みしめていこうとする上司の言葉は、経験不足のパンサーには重く響く…




ただでさえ、仕事面で百絵に及ばないパンサーにとって…確かにこの程度で弱音を吐いている訳にはいかないのだ…




パンサー「そうですよね!!熱意と情熱が最大の武器のボクが!!この程度で弱音は吐けませんッ!!」




百絵「そうよ!!今はシンドイ思いをしていても…必ず『イイ思い』ができる時が来るわ!!」




パンサー「そうですよね!!あぁ〜〜〜〜!!早く『イイ思い』をしたいなぁぁ〜〜〜〜!!!!」





元気よく、パンサーの肩を叩いて…再度、持ち場に戻っていく百絵であったが…




パンサーの言う『イイ思い』は事の外、早くやってくる。




それは、一瞬のことだった…





子供A「いぇ〜〜〜い!!!チラシのお姉ちゃんに…あたぁ〜〜〜く!!!」



百絵「 ッッッッッ!? 」

パンサー「ッ!!!」

スカートを履いていた虹ヶ丘支店の百絵…


そのスカートが…風に靡く様に…




パンサー「ウォォ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」




フワリとめくれ上がる…




子供A「やった〜〜〜!!大成功ッ!!!白いッ!!!」




子供B「うわぁ〜〜〜!!白色だぁ〜〜〜〜!!!!」




パンサー「 し、白…だねぇ… 」



突然の出来事に鼻血を垂らしながら混乱するパンサーも、目の前の白いモノが何かをシッカリと認識する…




百絵「 い、いぃぃ…イヤァァァ〜〜〜〜ッ!!!!」




事もあろうか、百絵のスカートが近所の子供の餌食となり、めくられてしまったのだ!!



百絵「 …………… 」


子供A&B「逃げろ〜〜〜〜〜ッ!!!」


見るものを見た後、サッサと退散した子供2人…




パンサー「さ、災難でしたね?でも、百絵さん…頑張ってチラシ配りを再開しま………ッ!?」





目の裏に焼きついた白いモノが離れず、対応に困惑するパンサーだったが…



パンサー「 ッ!? 」


百絵「あ、あの…あのガキども………」




何をしなければいけないかを!!

とっさに判断して、百絵の足元にしがみ付いた!!!




百絵「離して!!離すのよッ、パンサー君!!!」




パンサー「は、離しませんよッ!!今、この手を離したら百絵さんが…何をするか分からないじゃないですか!?」





百絵「決まっているじゃない!?今から…今から、あのガキ共の口にチラシを詰め込んでッ!!

   地面に埋めてやるぅぅ〜〜〜〜ッ!!!!」



パンサー「うぉおぉぉ〜〜〜〜!!ぜ、絶対離せねぇェ〜〜〜〜ッ!!

     百絵さん、チ…チラシは…チラシはボク達の思いを乗せて配るものでしょう!?」




百絵「そうよッ!!私の思いを胃の中に目一杯ッ…詰め込んでやるわぁぁァ〜〜〜〜ッ!!!」




「思い」が最早、「殺意」一色に染まり…狂気に走る上司。

それを全力で止めながら…引きずられる平社員…




パンサー「思いを伝えるチラシを狂気で満たして武器にしたらダメですよ!

     我慢です!!ここは耐えましょうッ!!も、百絵さ…アッ!!」



その時…



百絵「うるさいのよッ!!私の思いを胃から腸まで全部満たして…アァッ!!」



自然の…風の悪戯で………足元にしがみ付くパンサーに…再度、白いアレが見えてしまった…




百絵「 …………… 」




パンサー「ちょ…違うんですよ?わ、わざとじゃないって分かってもらえますよネ?

     不可抗力ですよ、百絵さん?ボクの意思や意図も意欲もないって分かってもらえていますよね??」




ゆらりと百絵の体がパンサーの前で揺れる…




女性らしいワンピースを着ている百絵も、この瞬間は魔物を駆る探検家の目に戻り…







パンサー「うそぉぉ〜〜〜んッ!?オレって、今回…こんな役なんッ!?」










ボコボコにボコられた…




……………………………………………………………………………………………………………












……………………………………………………









百絵「全く、災難だったわ…」



パンサー「本当に…水薬屋で回復用の「生命の水」を買っておいて良かった…死ぬかと思いましたよ…」






一連の情事の後、2人が力無さ気に噴水の前で涼みながら休憩を取る…




パンサー「ハァ…なんか今日は調子が狂うなぁ…」




周囲は疎らな人並み…人の流れを探っていくとパンサーは「ある事」に気付いた…





パンサー「あれ?百絵さん、アレってなんですかね?」




百絵「 ? 」




矢先、ふと…遠めに見えるのはゴタゴタと慌てる民衆…大きな建物のその影には役人らしき人間の姿も見える…








百絵「何かしら?いつもは人通りが多い噴水前だけど…むしろ、あっちの建物周辺の方が…人が多いわね?」


パンサー「そうですよねぇ?ボクはドルロレ出身ですけど、この人通りは確かに不自然ですよ?

     何かあったんでしょうか?」




水都ナーレでも特に大きな建物の一つ…


普段は魔物を倒して名を上げようと意気込んだ輩が多く集う場所。


それは、「大きな盾の看板」を掲げている店舗…





百絵「 ??? そういえば、あの建物って確か…?」




パンサー「確かアレは…男爵、グロード・A・アルベルトが経営する大型防具屋ですね?」




普段に見ることは有り得ない…事件の臭いを感じさせる雰囲気…



百絵「パンサーくん?」




パンサー「そうですね、これはチラシを配っている場合じゃありませんね…」





2人は配る予定だったチラシをカバンに直すと、グロード・A・アルベルトが経営する大型防具屋に向かって走っていった…






  次回へ続く(*゚▽゚)b


--------------------------------------------------------------------------------------


                   報告書




 氏名 : パンサー 




 ヒーロー名 : パンサー改




 実力値 A±(炎の魔法はSS+)




 仕事内容 : チラシ配り




 今回の報酬 : 全く無し!( 支店、広報活動のため! )
         但し、生命の水2本 ( 下記、※印に理由記載 )




 仕事の成果 : E(最低ランク)




 




査定評価




 イデアツーリスト、虹ヶ丘支店内実力ランク  3位


 火や炎を操る魔法使いなんだから…

 もう少し、暑さにも強くなって欲しいです…

※ 勤務中にアクシデントが発生し、パンサー君が大怪我を追いました。
※ 経費から「生命の水」を2本、支給します。


                       査定員  百絵
--------------------------------------------------------------------------------------